この夜が明ける前に ― Chisato's blog

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夜の光に照らされた私の世界

突然消える人たちへ ~ざけんなよ~

こんにちは。

知沙都(ちさと)です。

 

 

数日前、私はこんなツイートをしました。

 

 

 

私が働いていたガールズバーの運営会社の社員が、何の連絡も無しに、出勤してこなくなりました。

会社やお客様が連絡を取ろうとしても繋がらず。

 

いわゆる「飛ぶ」ってやつです。

 

 

水商売の世界では、社員もバイトも飛ぶ人が本っ当に多い。

私が見てきた中でも何人飛んだことか。

 

真面目に働いているように見えた人でも、ある日急に来なくなる。

LINEも未読スルー、あるいはアカウントそのものが削除されていることも。

 

 

 

このブログの中では、タケさんが飛びましたね。

私がRed Moon Barで働き始めた当時の店長。

 

あ、厳密には飛んだのかどうかもはっきり分からないのですが。

 

タケさんはキャストやお客様にとても慕われていたので、みんな困惑しましたし、ものすごく悲しみました。

 

 

 

と、まぁ前置きはこの辺にして。

 

 

 

上記ツイートの先日飛んだ社員を「Kさん」とします。

 

 

Kさんはもう長く働いている社員で、今までにいくつもの系列店舗で店長を務めてきましたし、ここ数年はエリアマネージャーも兼任していました。

 

水商売のキャストとしての経験もあり、営業上手。

また、どんな悪質なお客様相手でも絶対に怯まない。

 

この会社の中では、数少ない実力者だったと思います。

 

 

私はKさんと深い付き合いではなかったけれど、Kさんが評価してくれたおかげで給料を引き上げてもらえたりと、非常にお世話になりました。

 

何より、たくさんのキャストを見てきたKさんに認めてもらえたことが、当時はとても嬉しくて。

 

 

この会社はKさん無しではここまでやってこられなかったでしょう。

Kさん本人にもその自負があったはず。

 

そのため、Kさんが飛んだと聞いたときは驚きました。

 

 

 

そして。

 

 

 

このKさんと非常に親しかったのが、実は森野さんなのです。

 

 

森野さんは、ガールズバーで私の最初の指名客になってくれた人。

40代で脱サラして起業、一人で年商数千万円まで成長させたやり手の経営者さん。

妻子持ち。

このブログにもすでに何度か登場してもらっています。 

chisato-lightofnight.hatenablog.com

 

 

 

私がガールズバーを辞めてからも、森野さんとはちょくちょく連絡を取っていました。

 

でも、たいてい私から。

 

森野さんのお誕生日、会社設立記念日、元旦などなど、年に数回私からLINEを送り、何往復かやり取りする程度。

 

 

それが、Kさんが飛んだときは森野さんの方から私にLINEを送ってきたのです。

これはかなり珍しい。

 

 

Kさんが飛んだと聞いたとき、私は「森野さんはもしかしたら事前に知っていたのかな」と一瞬思いました。

しかし、残念ながら森野さんも何も知らされておらず、今も音信不通のまま。

Kさんが飛んだという確定情報は他の店長に確認したそうです。

 

 

 

話を聞かせてもらうと、森野さんはKさんが飛んだ理由はだいたい察しがつくとのことでした。

会社に対する不満や社長との確執を、Kさん本人から打ち明けられていたのだそう。

それも最近初めて話されたわけではなく、もうずいぶんと前から。

 

 

 

しかし、どんなに親しくともKさんは店側の人間で、森野さんはお客様(しかもとびっきりの太客)。

 

普通は会社や店の良くない裏事情なんて絶対に話しません。

Kさんはそういった線引きを誤る人ではないし、うっかり喋っちゃった~なんていうマヌケでもない。

 

 

また、Kさんはいずれ独立して自分の店を持ちたいと思っていることも森野さんに話していました。

 

森野さんはKさんより10歳年上で、すでに独立して起業している。

Kさんにとってはまさに人生の先輩といえる存在だったようです。

 

 

森野さんに対して、Kさんが他のお客様とは全く異なる信頼を寄せていたことは明らかでした。

 

 

 

それなのに。

 

 

 

2人で月1の定例飲み会の約束をしていた、その週にKさんは飛んだのです。

森野さんに何も伝えず。

 

 

 

 

森野さんはこの一件について、LINEで私にこう言いました。

 

「急に辞めるのはいいけど、一言ほしかった」

「俺は仲良しだと思ってたけど、彼にとってはそこまでじゃなかったのかな~」

「結構心折れたわ(^_^;) 」

 

 

森野さんだって夜遊び暦30年の大ベテラン。

安い商売口上に乗せられて勘違いするような甘ちゃんではありません。

Kさんのことも注意深く見ていたはずです。

 

 

2人が親しい仲だったのは、間違いない。

絶対に。

 

繰り返しになりますが、よほど親しいと思っていない限り、Kさんは内部事情(しかも自分に関することまで)をホイホイ明かすような人ではない。

 

もっと言うと、実は森野さんは1年以上前から仕事の本拠地が変わってガールズバーにほとんど顔を出さなくなっていたので、もはや「お客様」ではなかった。

 

それでもずっと付き合いを続けていた。

 

 

 

それなのに。

 

 

 

それなのに!

 

 

 

 

なぜ何の連絡も入れずに消える?

 

到底事情を話せないような相手だったら分かるけど。

他の社員やバイトのキャスト、お店のお客様たちとか。

 

だけど、森野さんにはもうすでに散々話してきたでしょう。

本来外部の人に話すべきではないことまで色々と。

 

 

 

どうして?

 

たった一言さえ告げられない理由は何?

 

飛ぶことそのものに対して森野さんはあーだこーだ咎めたりなんかしない人だと、Kさんならば分かっているでしょうに。

 

 

今まで話していたのとは全く違う事情かもしれないって?

 

その可能性はもちろんあるでしょうね。

 

実際、森野さんも「飛ぶことを決めた最終的なきっかけは別にあるだろう」と言ってましたし。

 

 

 

 

てかさ。

 

 

 

事情なんかいいんですよ。

教えてくれなくたって。

 

どうしても言えないなら言えないで、いいんです。

 

 

 

だけど、なぜ「辞めることにした」という一言が言えない?

 

その一言さえあれば、森野さんは傷付かずに済んだのに。

 

最悪、「さよなら」「探さないでください」でもいいわ。

モヤモヤするだろうけど、何の連絡も無いよりはマシ。

 

 

「心が折れた」なんて言葉、今まで森野さんから一度たりとも聞いたことはありませんでしたよ。

 

 

ここ3年近く「店員とお客」の枠を超えた親密な交流をしてきて。

数日後に食事の約束も控えていて。

 

それで突然音信不通になったら、心も折れますわ。

 

どんな事情か知らないし、教えてくれと頼むつもりもないけど、それは森野さんを悲しませてでも優先しなきゃいけないことだったの?

 

 

 

そりゃあ、冒頭でも触れた通り、水商売の人間はポンポン飛びますから。

 

突然いなくなってしまっても騒ぎ立てるようなことではないかもしれない。

水商売でできた繋がりなんて、ある日急に切れてしまっても仕方ないのかもしれない。

わざわざお客様に「辞めます」と事前連絡する義務なんて・・・

 

 

 

だけどさ。

 

 

 

どんな出会い方であれ、親しい仲になったわけじゃん。

人として関係を構築してきたわけじゃん。

 

水商売の店で知り合ったから簡単に切ってもいい繋がりです、なんてことある?

どうやって知り合ったかより、今現在の関係性の方が重要なんじゃないのか?

 

 

「Kさんにとっては別に親しいわけじゃなかったんでしょ」って、そしたらKさんは余計なことベラベラ喋りすぎで店長&エリアマネージャー失格ですからね。

 

 

 

 

ねえ、Kさん。

 

どうして?

 

 

あなたの人生なんだし、飛んだこと自体は私も咎めませんよ(本当は咎めたいけど)。

 

だけど、森野さんを裏切ったことだけは本当に納得がいかない。

たった一言で良かったのに。

事情の説明なんか要らないから、たった一言、森野さんに連絡してほしかった。

 

 

森野さんが悲しんでること、傷付いてること、分かってますか?

 

森野さんはアラフィフのおっちゃんだけど、Kさんと話すのが好きだったんですよ。

今度の飲みに行く約束もすごく楽しみにしてたんですよ。

 

 

時間が経てば諦めもつくだろうし、諦めざるを得ないけど。

 

冷たいよ、Kさん。 

 

森野さんの落胆を考えてよ。

 

「Kくんにとって俺はその程度だったんだな」って、こんなに寂しい気持ちが他にある?

 

 

 

関係を続けていく覚悟も、自分から別れを告げる覚悟もないなら、人と深い繋がりを持とうとするんじゃねぇよ。

振り回される相手の気持ちを考えろ。

 

消える側の人間はその後を何も見なくて済むからいいかもしれないけどさ。

残された側はたまったもんじゃないんだわ。

 

どんなふうに別れるかなんて自由だろ、って?

まぁ、あなたにはあなたの考え方があるのでしょう。

でもその価値観を貫くことが相手を傷付けないようにすることよりも大事なの?

 

 

 

Kさん、森野さんは待ってるって。

落ち着いたら連絡くれるかもしれないっていう淡い期待を抱いて、気長に待つって。

 

私は「きっと連絡来ますよ!」とは言えなかったです。

「来るように願ってます」が精いっぱい。

 

 

もうすぐ森野さんのお誕生日ですから、どうかその頃までには連絡してくださいよ。

頼みますよ。

 

 

 

 

 

ずいぶん長くなってしまいました。

 

Kさんが飛んだのを知ったときは「あーあ、あなたもですか・・・この会社って、この業界って、何でこんなに飛ぶ人が多いんだ・・・」くらいにしか思っていませんでした。

先述の通り、私もすごくお世話になった方だったので、がっかりはしましたけどね。

 

しかし、森野さんからLINEが来てやり取りをしているうちに、何だかものすごく怒りと悲しみがわいてきてしまって。

 

私の方こそ価値観の押し付けになっているかもしれないという自覚はありますが、書かずにはいられなかったんです。

 

人との付き合い方も別れ方も本人が決めることとはいえ、自分一人の問題ではなくて、必ず相手がいることですから。

相手への思いやり抜きに振る舞っても良いとは思えないんですよね。

 

まー水商売の人間は飛ぶことに対して感覚が麻痺しているのもあるでしょうが・・・

 

 

 

果たしてKさんから森野さんに連絡は来るのか。

期待はしていませんが、来てほしいですよ。本当に。

 

 

 

それでは、今回はこの辺で。

お読みくださって、ありがとうございました。